次は私の番かも…! 「卒対」の負担はこうやって減らそう
「卒対委員になっちゃった!」「先生への記念品、どうしよう…」
卒園・卒業を控えた子を持つ保護者にとって、ドキッとする言葉ではないだろうか。
今回は、多くのママやパパが経験する「卒対」の負担を減らし、スムーズに進めるためのヒントをご紹介したい。
INDEX
「卒対」とは?
卒対とは、「卒業対策委員会」の略で、主に幼稚園・保育園の卒園式や、小・中学校の卒業式に関する準備や運営を行うための組織のこと。
保護者が主体となって行うものであり、学校や地域によって、その取り組み方はさまざまだ。
伝統を重んじ粛々と準備を進めるところもあれば、卒対を設けず簡素な卒業式を行うところもあるが、一般的に次のような役割を担っている。
卒対が担う主な役割と仕事内容
卒業対策委員会(卒対)は、いくつかの係に分かれて仕事を進めるのが一般的だ。
代表的な役割として、以下のようなものがある。
卒園・卒業アルバムの作成
卒園・卒業アルバムに載せる写真の選定、ページ構成やレイアウト、印刷会社への発注など、アルバム制作に関する作業を行う。
卒園児・卒業生への記念品の用意
子どもたちに渡す卒園・卒業記念品の予算決めや記念品の選定、発注等を行う。
先生方へのお花や記念品の用意
お世話になった先生方に贈る記念品の制作や手配等を行う。
謝恩会の企画
卒園式・卒業式後に、子どもがお世話になった先生方へ、感謝の気持ちを伝えるための謝恩会やイベントを企画・運営する。
そのほか、全体を統括する「委員長」「副委員長」のほか、保護者から会費を集め予算管理を行う「会計係」、式典の様子を写真や映像で記録する「写真・DVD係」など、学校や地域によってさまざまな役割がある。
卒対が大変だと感じる主な理由は?
卒対はやりがいのある活動であるが、同時に多くの困難も伴うもの。
PTA活動と同様に、「とにかく大変」「メンバー同士でいざこざが起こる」など、ネガティブなイメージがつきまとっているのが現状だ。
実際、インターネット上でも「もめる」「大変」「やりたくない」といった検索キーワードが目立つ。
その理由には、主に以下のようなものが挙げられるだろう。
保護者の時間的な負担が大きい
頻繁な打ち合わせや準備期間が限られている中での作業など、卒対の活動は普段の家事や仕事と両立させることが難しく、時間的な負担が大きくなることがある。
そのため、平日の仕事や家事の合間を縫って準備を進めるだけでなく、夜間や休日も作業にあてなければならないという声も。
人間関係のトラブルが起こりやすい
卒対には多様な価値観を持つメンバーが集まるため、意見が対立することが少なくない。
また、作業量のバランスや責任分担の公平性をめぐり、誤解が生じたり、不満が溜まったりすることも。
メンバー間でのコミュニケーション不足が重なると、チーム全体の士気が低下してしまうことがある。
卒対をスムーズに進めるためのデジタルツール3選
卒対を円滑に進めるためには、事前準備とメンバー間の連携が不可欠だ。
具体的な対策として、各作業のスケジュールを明確にし、逆算して計画を立てることや、定期的な打ち合わせの実施等が挙げられる。
さらに、デジタルツールを活用することで、より効率的かつスムーズな運営が可能になることも。
以下に、卒対の活動を力強くサポートしてくれるデジタルツールを3つご紹介したい。
ヨセッティ
ヨセッティは、スマホひとつで簡単にメッセージを集められる、オンラインの寄せ書きサービス。
従来のように、一人ひとりに手書きのメッセージをお願いしたり、集めたメッセージをまとめたりする手間が大幅に削減できる。
時間や場所を選ばず、仕事や育児の合間にサッとメッセージを書き込めるため、忙しいママたちにぴったりのサービスだと言えるだろう。
アルバムスクラム
卒対の仕事の中でも1、2を争うほど大変だと言われている、卒園・卒業アルバムの制作。
そんなアルバム制作の強力なサポーターとして、近年注目されているのが「AI」だ。
アルバムスクラムは、卒園・卒業アルバム制作の効率化を目的とした、AI(人工知能)を活用したシステム。
AIが膨大な写真の中から各生徒が写っている写真を自動で選別し、掲載回数のバランスを調整したり、校正作業をオンラインで行ったりすることができる。
従来の卒業アルバム制作で発生していた人の手による作業を大幅に減らし、よりスムーズな制作を可能にしているのが特徴だ。
LINE WORKS
LINE WORKSは、ビジネスシーンで広く活用されているコミュニケーションツール。
普段使っているLINEと同じ感覚でスムーズにコミュニケーションを取ることができることから、近年、PTA活動等でも用いられている。
カレンダー機能でスケジュールを共有したり、掲示板で情報を集約したり、アンケート機能で保護者の意見を収集したりと、さまざまな用途に活用できるのが特徴だ。
また、「プライベートのLINEと切り分けて使える」「表示名がわかりやすく、グループチャットでの参加者の特定が容易になる」といったメリットも。
セキュリティ面も万全なので、安心して個人情報を管理できる点も◎。
最終的には「外注」という手も
上記のようにデジタルツールを活用して作業負荷を軽減するほか、「外部に依頼する」という手段もある。
たとえば、卒園・卒業アルバムの作成を専門業者に委託するのも選択肢のひとつ。
プロの技術による高品質なアルバム制作はもちろん、保護者の手間を大幅に削減できるというメリットがある。
デザインやレイアウトなど、専門のスタッフがトータルに担当してくれるため、より満足度の高い仕上がりが期待できる。
費用は高くなる可能性があるが、一生の思い出に残るアルバムを作るためには、検討する価値があると言えるだろう。
さらなる役員の負担軽減策として、保護者の事務作業をアウトソーシングする事例もある。
愛媛県松山市では、PTAの運営において、小中学校の多くが時給制で「パート事務員」を雇っているという。
この「PTA事務員制度」ではPTAが会費から報酬を支払い、事務職員さんを雇用。
PTA事務員の主な仕事内容は各校により異なるが、主に
・案内文や議事録など各種資料の作成・配布
・会費の入出金及び予算の管理
・役員や保護者、学校との連絡調整
・イベントの運営事務
といった、いわゆる会計・庶務にあたる業務を担っているようだ。
事務作業の負担が軽減されることで、役員は企画・運営に専念し、より質の高いPTA活動に貢献できるようになったという。
また、2022年8月には旅行代理店の近畿日本ツーリストがPTA業務の代行サービスをスタート。
大きな話題になるとともにさまざまな議論を巻き起こしたが、今後卒対にも同様のシステムが適用されるようになれば、より効率的な卒園式・卒業式の企画・運営が可能になるかもしれない。
最後に
卒対の活動はやりがいがある一方で、時間的な負担や人間関係のトラブルなど、さまざまな課題を抱えている。
しかし、子どもたちの大切な卒園式・卒業式を成功させたときの喜びは、それらの苦労をはるかに超えるもの。
多くの保護者が「大変だったけれど、やってよかった」と振り返るように、卒対の経験は子どもたちとの思い出だけでなく、自分自身の成長にもつながる貴重な機会となるだろう。
最近では、卒対の負担を軽減するためのさまざまなツールやサービスも登場してきている。
これらを上手に活用することで、よりスムーズに、そしてより楽しく、子どもたちの未来を彩る式典を作り上げていきたい。
参考:オールアバウト「PTA役員の負担軽減は“有償・外注”がヒント。時給制で「パート事務員」を雇う愛媛県松山市PTAの事例」