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コラム

女性マーケティング
2023.06.27

売上が10倍以上に!? 女性向け商品のネーミングのコツと事例


「名は体を表す」と言うが、名前ひとつでそのものに対するイメージは大きく変わってくるもの。

2022年、東京都は育児休業の呼び名を「育休」から「育業(いくぎょう)」とすることを発表した。
この愛称には、「育児休業を『仕事を休む期間』ではなく、『社会の宝である子供を育む期間』と考える社会へと転換していきたい」との想いが込められている。
育児は未来を担う子供を育てる尊い仕事であるとの認識を共有し、男性の育児休業の取得を促す狙いもあるという。
ほかにも、クレヨンや色鉛筆などの「はだいろ」は、人の肌の色へ固定観念を与える可能性があることから、現在「うすだいだい」へと表記が改められている。

このように、名前が人々に与える印象は非常に大きく、つけ方ひとつで商品の売上が左右されることも。

今回は女性向け商品のネーミングのコツと、ネーミングを変えたことで実際に売上が10倍以上アップした事例を紹介していきたい。

売れるネーミング3つのポイント

女性をターゲットとした商品のネーミングを考える際は、まず、ターゲットや自社商品の優位性、伝えたいメッセージを明確にすることが大切だ。
その上で、商品の魅力を的確に伝えるためにぜひ取り入れたいポイントがいくつかある。
今回はその中から3つ紹介したい。
 売上が10倍以上に!? 女性向け商品のネーミングのコツと事例

1、専門用語は×。身近なワードを取り入れよう

女性はスペックよりも、イメージに心が動かされるもの。
販売する側としてはつい商品の機能性や専門性を謳いたくなってしまうが、ここで大切なのは、「売り手目線」ではなく「買い手目線(お客様目線)」で考えること。
実際、女性ユーザーが知りたいのは商品の専門的な知識や技術的な用語ではなく、「この商品を使用したら自分にとってどんないいことがあるだろうか」というベネフィットだ。
そのため、業界特有の難しい専門用語は、ユーザーが慣れ親しんだ言葉に変換して表現しよう。

例:
200万画素の高感度性能カメラ → 映画のワンシーンのような夜景が撮れるカメラ

従来品の3倍の吸収力を誇るタオル → 一度でスパッと拭き取れるタオル

このように、親しみやすい言葉で商品のベネフィットを訴求できるネーミングにすると、女性ユーザーの心に響きやすいと言えるだろう。

2、相反する語を組み合わせて、インパクトの強い言葉をつくろう

修辞技法(レトリック)のひとつに、撞着語法(どうちゃくごほう)というものがある。
撞着語法とは、矛盾する言葉を意図的にかけ合わせることで、人々の目や興味をひきつける表現方法のこと。
「対義結合」や「オクシモロン」とも呼ばれている。
撞着語法を用いた表現としては、「小さな巨人」「負けるが勝ち」「無知の知」などが挙げられるだろう。
映画のタイトルで言うと、「もののけ姫」や「バック・トゥ・ザ・フューチャー」などがある。
ちなみに「もののけ姫」には、「アシタカ聶記(せっき)」というタイトル案も浮上していたが、プロデューサーである鈴木敏夫氏の強い意向によって「もののけ姫」になったという。
結果として「もののけ姫」は、興行収入193億円、観客動員数1,420万人を記録する大ヒット作品となった。

3、商品の使用シーンを一瞬でイメージできるようにしよう

一般的に、女性は感覚的にモノを捉える力が強いと言われている。
そのため、文章においても一瞬で状況をイメージできるような工夫が必要だ。
たとえば、「ホームページはどんなものなのか」という問いに対して、
「ホームページは、インターネット上で自社の商品やサービスの詳細を紹介するものです」
というよりも、
「ホームページは、24時間休まずに働いてくれる営業マンです」
といった方が、メリットや特徴が伝わりやすいだろう。
同じように、ネーミングにおいても「比喩表現」「擬音語・擬態語」を用いることで、イメージがグッと湧きやすくなる。
たとえば、擬音語・擬態語を用いた商品に「プチッと鍋」や「プッチンプリン」などがある。
どちらも、商品名からどのようにして食べるものなのかがパッと頭に浮かんでくるだろう。
また、食器用洗剤「キュキュット」は、油汚れがスッキリ落ち、ピカピカになったお皿を指でこすったときの音をイメージさせる。

どんなときに使用する商品なのかが瞬時に伝わるネーミングは、イメージを膨らませるための重要な要素のひとつ。
それが、「私も試してみたい」「一回使ってみよう」という気持ちをつくるのだ。

商品名を変えただけで売上が10倍以上アップした事例

ここまで女性向け商品のネーミングを考える際に取り入れたいポイントについて述べてきた。
次に、実際に商品名を変えたことで売上が大きく伸びたアイテムを2つご紹介したい。
売上が10倍以上に!? 女性向け商品のネーミングのコツと事例

「三陰交をあたためるソックス」 → 「まるでこたつソックス」

岡本株式会社より販売されている冷え対策靴下「まるでこたつソックス」。
こちらの商品、2013年の発売当初は「三陰交をあたためるソックス」という名称だった。
三陰交とは、足のくるぶしあたりにある冷えに効果があるとされるツボのこと。
しかし女性ユーザーには「三陰交」の意味がわかりづらかったこともあり、売上にはつながらなかったようだ。
そこで、商品の特徴をよりわかりやすく伝えられるよう「まるでこたつソックス」に改名したところ、なんと売上がこれまでの約17倍に!
「まるでこたつ」というわかりやすい比喩表現を用いて「寒い日でも快適に過ごせる」「足元がポカポカにあたたまる」というベネフィットを訴求することで、女性ユーザーの心を掴んだ好事例だと言えるだろう。

なお、もともと商品名に使用していた「三陰交」は、現在商品説明の中で使用。
近年は「靴下サプリ」シリーズとして、「まるでこたつレッグウォーマー」や「まるでこたつ足首ウォーマー」など、新しい商品も続々と登場している。

「ネピア モイスチャーティッシュ」 → 「鼻セレブ」

しっとりとしたやさしい肌触りが人気の「鼻セレブ」。
1996年の発売当初は「ネピア モイスチャーティシュ」という名前だった。
当時は保湿ティッシュ自体があまり認知されていなかったため、あまり売れ行きがよくなかったという。
中には、モイスチャーティッシュ=ウェットティッシュと勘違いする人もいたようだ。
そこで2004年に、鼻に使う高級なティッシュ「鼻セレブ」という名称に変えたところ、一躍大人気商品に。
改名前と比べて、売上が10倍以上アップしたそうだ。

「鼻」という身近なワードに「セレブ」という一見ミスマッチな単語をあえて組み合わせることで、人々の心に残るインパクトの強い商品名となったことも功を奏したと言えるだろう。

まとめ

今回は、女性向け商品のネーミングのコツと、商品名を変更したことで売上がグンと伸びた事例を紹介してきた。

もちろん商品のネーミングだけでなく、パッケージのデインなども売上を左右する重要な要素のひとつ。
たとえば「まるでこたつソックス」は、ネーミングの変更に合わせて、シニア層を意識したデザインからプチギフトにも使えるようなシンプルですっきりしたデザインへと一新。
また、「鼻セレブ」は商品のやわらかさを視覚的に訴えられるよう、アザラシやうさぎ、オコジョといったふわふわしたイメージの動物写真をパッケージに採用している。

このように訴求力の高いネーミングとパッケージデザインを組み合わせることで、商品の印象をより明確に伝え、売上アップにつなげることができると言えるだろう。

商品のネーミングを検討する際はもちろん、キャッチコピーやキャッチフレーズ、ブログのタイトルなどを考えるときにもぜひ役立ててほしい。

 


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